あなたは「国際結婚したら苗字はどうなるの?」「外国人パートナーは夫婦別姓を望んでいるけど大丈夫?」と思ったことはありませんか?
結論、国際結婚では夫婦別姓が原則として認められており、多くの外国人配偶者にとって自然で喜ばしい選択肢です。
この記事を読むことで国際結婚における姓の選択肢やメリット・デメリット、具体的な手続き方法がわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.国際結婚で外国人配偶者が喜ぶ夫婦別姓の魅力とは

国際結婚において夫婦別姓は、多くの外国人配偶者から歓迎される制度です。
ここでは、なぜ外国人配偶者が夫婦別姓を喜ぶのか、その背景と理由を詳しく解説します。
国際結婚では夫婦別姓が当然に認められている理由
日本では日本人同士の結婚では夫婦同姓が義務付けられていますが、国際結婚では夫婦別姓が原則となっています。
これは特例措置ではなく、戸籍制度に基づく必然的な仕組みです。
外国人には日本の戸籍が作られないため、日本人と結婚しても同じ戸籍に入ることができません。
そのため、婚姻届を提出しても自動的に姓が変わることはなく、何も手続きをしなければ夫婦別姓のままとなります。
日本人の戸籍には「外国人配偶者との婚姻の事実」が身分事項欄に記載されるだけで、相手の姓に影響することはありません。
この仕組みにより、国際結婚では夫婦別姓も夫婦同姓も自由に選択できるという柔軟性が生まれています。
外国人にとって夫婦別姓が自然で受け入れやすい背景
世界的に見ると、夫婦別姓は決して珍しい制度ではありません。
中国、韓国、タイ、ベトナムなどのアジア諸国では夫婦別姓が伝統的な慣習として定着しています。
また、欧米諸国でも選択的夫婦別姓が一般的で、結婚後も旧姓を使い続ける女性は少なくありません。
多くの外国人にとって、結婚によって必ず姓を変えなければならないという考え方のほうが不自然に感じられます。
特に中国や韓国出身の配偶者の場合、母国では夫婦別姓が当たり前なので、日本でも別姓を選べることに安心感を覚えるケースが多いです。
このように文化的背景の違いから、夫婦別姓は外国人配偶者にとって馴染みやすい選択肢となっています。
アイデンティティを守れることへの安心感
姓は個人のアイデンティティの重要な一部です。
生まれてから長年使い続けてきた自分の名前を変えることは、多くの人にとって大きな心理的負担となります。
外国人配偶者にとって、自分の姓を保持できることは「自分らしさを失わずに済む」という大きな安心材料です。
特にプロフェッショナルとしてキャリアを築いてきた人にとっては、姓の変更は職業上の実績やネットワークの継続性に影響を与える可能性があります。
また、姓には家族の歴史や文化的な意味が込められていることも多く、それを保持できることは精神的な安定につながります。
夫婦別姓を選ぶことで、結婚しても自分自身であり続けられるという感覚は、多くの外国人配偶者が重視するポイントです。
本国の家族や文化とのつながりを保てるメリット
国際結婚をする外国人配偶者の多くは、本国に家族や親族がいます。
姓を変更してしまうと、母国の家族や親戚との関係性が書類上わかりにくくなってしまう可能性があります。
夫婦別姓を維持することで、本国での身分証明書やパスポート、各種公的書類との整合性を保つことができます。
また、母国の文化や伝統を尊重する意味でも、自分の姓を保持することは重要です。
特に中国や韓国など、夫婦別姓が文化的に根付いている国出身の配偶者にとっては、姓を変えないことが家族への敬意を示すことにもつながります。
さらに、将来的に母国に帰国する可能性がある場合、姓が変わっていないことで各種手続きがスムーズになるというメリットもあります。
2.夫婦別姓を選ぶ具体的なメリット

国際結婚で夫婦別姓を選択することには、実務面でも多くのメリットがあります。
ここでは、日常生活や手続きにおける具体的な利点を詳しく見ていきましょう。
手続き不要で婚姻届を出すだけで完了する簡単さ
夫婦別姓を選ぶ最大のメリットは、特別な手続きが一切不要という点です。
婚姻届を市区町村役場に提出するだけで、姓に関する手続きは何も必要ありません。
日本人同士の結婚では、どちらかの姓に合わせる必要があり、姓を変更する側は様々な名義変更手続きに追われることになります。
しかし国際結婚で夫婦別姓を選べば、そうした煩雑な手続きから完全に解放されます。
婚姻届の提出後すぐに日常生活を始められるため、結婚後の新生活をスムーズにスタートできます。
特に仕事が忙しい方や、手続きに時間を割けない方にとっては大きなメリットとなるでしょう。
銀行口座やクレジットカードなど名義変更が不要
姓を変更すると、膨大な数の名義変更手続きが必要になります。
銀行口座、クレジットカード、証券口座、保険契約、携帯電話契約、公共料金の支払い名義など、リストアップするだけでも大変です。
さらにパスポート、運転免許証、各種資格証明書なども書き換えなければなりません。
夫婦別姓を選べば、これらの名義変更手続きがすべて不要になります。
結婚前に使っていた銀行口座もクレジットカードも、そのまま継続して使用できます。
時間と労力の節約になるだけでなく、変更手続きに伴うミスや漏れのリスクも回避できます。
特に複数の銀行口座や投資口座を持っている方、多くのサービスを利用している方にとっては、このメリットは非常に大きいと言えます。
仕事やキャリアで旧姓を継続して使える利点
職業上の実績やキャリアを継続できることも、夫婦別姓の大きなメリットです。
特に専門職や営業職、クリエイティブ職など、名前が個人のブランドとなっている職種では、姓の変更は大きな影響を与えます。
取引先や顧客、同僚に姓が変わったことを説明する手間もなく、ビジネス上の信頼関係をそのまま維持できます。
資格証明書や論文、出版物などに記載された名前も変更する必要がありません。
医師、弁護士、税理士、建築士などの専門職の方や、研究者、作家、芸術家などにとっては特に重要なポイントです。
また、社内の人事システムや名刺、メールアドレスなども変更不要で、職場での混乱を避けることができます。
キャリアの継続性を重視する方にとって、夫婦別姓は理想的な選択肢と言えるでしょう。
日本人側の家の苗字を残せる安心感
日本では「家」を継ぐという概念が今も根強く残っています。
特に一人っ子や姉妹のみの家庭では、結婚によって姓が途絶えてしまうことへの不安があります。
国際結婚で夫婦別姓を選べば、日本人側の姓を確実に残すことができます。
両親や親戚にとっても、家の姓が継続されることは大きな安心材料となるでしょう。
また、先祖代々の墓や仏壇、家業などの継承という観点からも、姓を残すことには意味があります。
子どもが生まれた場合も、日本人親の姓を名乗らせることで家系を継続できます。
家族の歴史や伝統を大切にしたいと考える方にとって、夫婦別姓は非常に有効な選択肢です。
3.国際結婚における姓の選択肢と手続き方法

国際結婚では、夫婦別姓だけでなく複数の選択肢があります。
ここでは、それぞれの選択肢と具体的な手続き方法について詳しく解説します。
夫婦別姓を選ぶ場合の手続き(届出のみで完了)
夫婦別姓を選ぶ場合、特別な手続きは一切不要です。
市区町村役場に婚姻届を提出するだけで完了します。
婚姻届には外国人配偶者の氏名を記入しますが、日本人側の姓はそのまま維持されます。
必要書類は、婚姻届、日本人の戸籍謄本(本籍地以外で提出する場合)、外国人配偶者の婚姻要件具備証明書やパスポートなどです。
外国人配偶者の本名は変わらず、日本人配偶者も旧姓のままとなります。
戸籍には日本人の身分事項欄に「○年○月○日○○国籍の××(生年月日)と婚姻」と記載されます。
この方法が最もシンプルで、時間もコストもかからない選択肢です。
日本人が外国人配偶者の姓に変更する方法と期限
日本人が外国人配偶者の姓に変更したい場合、婚姻から6ヶ月以内であれば市区町村役場への届出のみで変更できます。
提出する書類は「外国人との婚姻による氏の変更届」です。
必要書類は、氏の変更届、戸籍謄本、婚姻を証明する書類(婚姻届受理証明書など)、外国人配偶者のパスポートのコピーなどです。
6ヶ月以内に手続きをすれば、家庭裁判所の許可は不要で、市区町村役場だけで完結します。
ただし、6ヶ月を過ぎてから変更したい場合は、家庭裁判所に氏の変更許可を申し立てる必要があります。
この場合、「日常生活に支障をきたす事情」などの正当な理由が求められるため、手続きのハードルが上がります。
変更を検討している方は、婚姻後6ヶ月以内に手続きすることを強くおすすめします。
変更後は、日本人の戸籍の姓が外国人配偶者の姓(カタカナ表記)に変わり、パスポートや運転免許証なども新しい姓で書き換える必要があります。
複合姓(ダブルネーム)という第三の選択肢
複合姓(ダブルネーム)は、日本人の姓と外国人配偶者の姓を組み合わせた姓です。
例えば、山田花子さんがジョン・スミスさんと結婚した場合、「スミス山田 花子」や「山田スミス 花子」といった姓にすることができます。
この選択肢のメリットは、両方の姓を残せることでお互いのアイデンティティを尊重できる点です。
また、家族であることが名前だけでわかりやすく、子どもにも両親の姓を引き継がせることができます。
ただし、複合姓にするには婚姻後6ヶ月以内であっても家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所に「氏の変更許可申立書」を提出し、面接を経て許可を得る必要があります。
デメリットとしては、フルネームの文字数が多くなること、日本では馴染みが薄いため聞き取ってもらえないシーンがあることなどが挙げられます。
また、申立ての手続きに時間と費用がかかることも考慮する必要があります。
外国人配偶者の通称名登録という実用的な選択
通称名(通名)とは、外国人が日本で使用する別名のことです。
本名は変わりませんが、日常生活で日本名を使えるようにする制度です。
市区町村の住民窓口に「通称名記載申出書」を提出することで、住民票に通称名を記載できます。
通称名は運転免許証や健康保険証にも記載され、銀行口座の開設など法的効力のある行為にも使用可能です(ただし効力は国内限定)。
例えば、ジョン・スミスさんが「鈴木ジョン」という通称名を登録すれば、日本での生活がより便利になります。
外国人配偶者が日本人の姓を使いたい場合の実用的な選択肢と言えます。
ただし、パスポートや在留カードは本名のままで、通称名は記載されません。
また、あくまで本名ではないため、正式な契約や重要書類では本名の使用が求められる場合もあります。
帰化申請による夫婦同姓の実現方法
外国人配偶者が帰化して日本国籍を取得すれば、夫婦同姓にすることができます。
帰化すると日本の戸籍を持つことができ、日本人配偶者と同じ戸籍に入ることが可能です。
帰化申請時には、日本人配偶者の姓に変更することも、自分の姓を維持することも、また新しい姓を名乗ることもできます。
日本人と結婚している外国人の帰化要件は以下の通りです。
①結婚前に3年以上日本に居住していた場合:結婚した時点で帰化条件を満たします。
②婚姻後3年が経過し、かつ1年以上日本に住所を有する場合:この条件でも帰化申請が可能です。
帰化申請から許可までには数ヶ月から1年程度かかります。
メリットとしては、日本のパスポートを持てる、選挙権が得られる、日本人と同じ社会福祉を受けられるなどがあります。
ただし、帰化すると母国の国籍を失うことになるため、本人にとって大きな決断となります。
将来母国に戻る可能性がある場合や、母国との強いつながりを保ちたい場合は、慎重に検討する必要があります。
4.夫婦別姓のデメリットと注意点

夫婦別姓には多くのメリットがありますが、デメリットや注意すべき点も存在します。
ここでは、実際に夫婦別姓を選んだ方々の体験談を基に、具体的な問題点を解説します。
夫婦であることを説明する場面が増える不便さ
日本では夫婦同姓が一般的なため、姓が違うと結婚していることが伝わりにくいという問題があります。
初対面の人には「独身」や「離婚している」と思われることも少なくありません。
病院や役所、銀行などの窓口で、夫婦であることを証明するために婚姻届受理証明書や戸籍謄本の提示を求められる場合があります。
また、ホテルの予約や家族割引の適用時など、日常生活の様々な場面で説明が必要になることがあります。
特に緊急時に配偶者として認められにくいケースもあり、医療機関での面会や手術の同意などで困ることがあります。
不動産の賃貸契約や住宅ローンの申し込み時にも、夫婦関係の証明を求められることがあります。
説明する手間を面倒に感じる方にとっては、このデメリットは大きいと言えるでしょう。
子どもの姓をどちらにするか悩む問題
国際結婚で夫婦別姓を選んだ場合、子どもの姓は原則として日本人親の姓になります。
子どもは日本人親の戸籍に記載され、その戸籍の姓を引き継ぐためです。
もし外国人親の姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」をする必要があります。
許可が得られると、子どもは単独戸籍となります。
子どもが複数いる場合、それぞれに単独戸籍を作る必要があり、手続きが煩雑になります。
また、親と子で姓が異なることで、学校や地域社会で説明を求められる場面が増える可能性もあります。
「家族全員が同じ姓を名乗りたい」と考える方にとっては、夫婦別姓は悩ましい選択となるでしょう。
子どもの将来を考えて、姓の選択は慎重に検討する必要があります。
銀行での共同口座開設などで困るケース
実際に夫婦別姓を選んだ方の体験談では、銀行での共同口座開設ができなかったというケースが報告されています。
日本では元々共同名義の口座を作ることができませんが、代理人カードを作ることで夫婦が共同で管理できる口座を作ることは可能です。
しかし、夫婦別姓の場合、この代理人カードを作れないという対応をされることがあります。
金融機関によって対応が異なるため、事前に確認が必要です。
また、家族カードの発行やクレジットカードの審査時にも、夫婦別姓であることが影響する場合があります。
不動産購入時の共同名義や、生命保険の受取人指定などでも、夫婦関係の証明を求められることが多く、手続きが煩雑になることがあります。
金融関係の手続きをスムーズに進めたい方は、こうしたデメリットも考慮する必要があります。
家族としての一体感を感じにくいという声
心理的な面では、姓が異なることで「家族になった実感が薄い」と感じる方もいます。
特に日本では夫婦同姓が文化的に根付いているため、「結婚=姓を揃える」というイメージが強いです。
周囲の人から「本当に結婚しているの?」と疑われたり、結婚したことを認識してもらえなかったりすることもあります。
また、家族行事や親戚付き合いの際に、姓が違うことで疎外感を覚えるという声もあります。
特に日本人側の親族が夫婦同姓を期待していた場合、夫婦別姓を選んだことで関係がぎくしゃくすることもあります。
ただし、これらの感じ方は個人差が大きく、夫婦別姓でも十分に一体感を持てるという方も多くいます。
大切なのは、パートナー同士でよく話し合い、お互いが納得できる選択をすることです。
まとめ
国際結婚における夫婦別姓について、重要なポイントをまとめます。
- 国際結婚では夫婦別姓が原則として認められており、特別な手続きは不要
- 外国人配偶者にとって夫婦別姓は文化的に自然で、アイデンティティを守れる安心感がある
- 銀行口座やクレジットカードなどの名義変更が不要で、手続きの負担が大幅に軽減される
- 仕事やキャリアで旧姓を継続して使えるため、職業上の実績を維持できる
- 日本人側の家の姓を残せるため、家族や親戚にも安心してもらえる
- 日本人が外国人配偶者の姓に変更する場合、婚姻後6ヶ月以内なら市区町村役場への届出のみで可能
- 複合姓(ダブルネーム)や通称名登録、帰化申請など、複数の選択肢がある
- 夫婦であることの説明が必要な場面が増える、子どもの姓で悩むなどのデメリットもある
- 銀行での共同口座開設など、実務面で不便を感じるケースがある
- 家族としての一体感や周囲の理解という心理的な面も考慮する必要がある
国際結婚における姓の選択は、夫婦の価値観やライフスタイル、将来設計によって最適な答えが変わります。
メリットとデメリットをしっかり理解した上で、パートナーとよく話し合い、お二人にとって最良の選択をしてください。
姓に関する選択は、結婚生活のスタートにおける重要な決断の一つです。
この記事が、あなたの幸せな国際結婚の一助となれば幸いです。
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